桜の実

桜に実がなることをご存知ですか?

 サクラには実がならないと思っている人が多くいます。それはサクラに「自家不和合性」と呼ばれる性質があり、それは同じ木の雄しべの花粉が雌しべに付着しても実を結ばないためです。
 身近なサクラ並木といえば、ソメイヨシノを植樹したものばかりです。ソメイヨシノだけ並んで植樹されていては実はつきません。これは「実がつかない」のであって「実がならない」わけではないのです。もし、付近に違う品種のサクラの木があれば花粉が付着して実がなるはずです。ただし、そこで落ちた実が発芽しても、それはソメイヨシノとは別の品種のサクラになります。

 サクラの実をご紹介します。葉と実を4種類並べてみました。左からアラシヤマ、ウワミズザクラ、東京神田で発見された香りのあるスルガダイニオイ、そしてヤマザクラです。


 かつて日本中で競ってサクラ並木をつくっていた頃は、早く美しい風景にしたいために苗木を植えました。しかし、日本一長い生きで有名な神代桜や三春の滝桜などは、実が発芽して、このようなサクラに成長したものです。
私は「サクラは散ってからが面白い」と語って10年以上になります。夏の始まりが私の「さくら遊び」の始まりで、その実の成長次第で小鳥の集まりや木々のざわめきが異なります。サクラは1本の木でも多くの動植物の循環を手伝っている様子が見えるのです。その後、実は紫色に熟して、熟したら落ちます。それを拾い染色に用います。
 サクラを通年愛でる習慣をつけると、散った後に新しい芽が萌え、実がなり、やがて紅葉し落葉してゆく様まで、四季をとおして楽しめるものなのです。サクラの木々だけでなく、空の色や周囲に咲く花々の違いまで楽しめるものです。
 まだ多くの人に知られていないことですが、青森県の農業試験場で実に抗酸化作用があることを研究し、それを情報公開しております。 つまり老化防止に良いと言われているのですが、私が実を食するより染色にポイントを絞ります。東京近郊に住む私は、実を採取することができず、落ちたものしか入手できないからです。

実を食する

 サクラの実の話をすると、どんな味かを聞かれます。例えばオオシマザクラの実は美味しいけど、ヤマザクラは苦いとか、品種によって異なります。もしチャンスがあればぜひ実を召し上がってみてください。 中でもお勧めは、ウワミズザクラという品種です。これは群馬県や新潟県の山に住む人は加工した「アンニンゴ」というものを食べているそうです。山に自生しているのを採って自家で漬けているそうですが、私は味わったことはありません。

 5年前になりますが、ウワミズザクラの実を焼酎で漬けたことがあります。漬けて3カ月以上が過ぎると、焼酎に漬けた直後とはまったく違った香りがたちます。とかくサクラといえばサクラ餅の香りを連想されますが、ウワミズサクラの焼酎からは、妥当な香りがないので表現に困りますが、さわやかな風が瓶から噴いてくるようなすがすがしい香りがします。香りで、うっかり焼酎の度の強さを忘れさせられます。残念ながらまだアンニンゴに加工する方法を知りません。どこにでもその土地ならではの食材やそれらの加工方法が沢山あり、それが伝承されにくい世の中になっているように感じます。(写真:ウワミズザクラの焼酎漬け)


実を利用した製品化事例

 青森県弘前市の、弘前城は桜の名所として有名です。桜の手入に関しては、日本一の誉れ高く、私も桜の頃にここを訪れ、花の良さと質の良さに感動しました。 さくらの名所の中で、弘前城のように、1本も傷んだ桜がない処はほかにないでしょう。
 当地にオオヤマサクラの桜並木から、落ちて朽ち果てるばかりだった桜の実を使った、エコロジーで、しかも健康に良いお酒をつくっている会社、六花酒造があります。
場所は青森県弘前市の桜並木 オオヤマサクラの実
 オオヤマザクラは、北海道に多く咲いている寒い地域のさくらです。染井吉野よりも少し赤く、大きな実をつけます。この実は、青森県工業試験場と六花酒造と共同研究した結果、抗酸化作用の成分が多く含まれていることがわかりました。 今まで花にしか注目されてこない桜ですが、無視されていた実に多くの恵みがあったのです。
6月~7月の頃熟したオオヤマサクラ の実を六花酒造の社員が一粒ずつ集めている様子 収穫したオオヤマサクラの実
商品は焼酎と日本酒をベースにした
サクラの実のリキュール

写真左:焼酎ベース「ひとひら」
写真右:日本酒ベース「セリジェ」
  ●スパークリングさくら ●ひとひらミルク

“桜色のお酒”
めでたい席に最適なお酒。

  「ひとひら」大さじ1~2杯(お好みで)を グラスに入れ、冷やしたソーダ水を注ぐ 「ひとひら」大さじ2杯をグラスに入れ、 冷やしたミルクを注ぐ. ミントを浮かせたり、桜の花びら方に作った氷を入れるとよりユニーク