千代田区の桜を植えた人 新堀 栄一氏

立ち上がって語る新堀氏

千鳥ヶ淵緑道の桜がとくに有名ですが、お濠や北の丸公園など、区内の桜を植えた人、新堀栄一氏の講演がありました。11月24日(月)千代田区生涯学習会館で、イラストレーターが開いた桜展が開かれており、その会場で新堀さんは、植えた当時のこと事を語ってくれました。
 新堀さんは、昭和30年代に、当時の区長村瀬清氏の決意によって区内に桜の植樹が始まった頃から勤務していました。地下足袋姿で土手の法面に桜を植えたとおっしゃいます。
確かにお濠や土手の急斜面では、命綱をつけなければ植えられません。当時は機械もなく、一本一本手で植えてきたのですから、新堀氏の桜への想いは深いはずです。今や全国的に知られる桜ですが、木の老齢化が目立ってきて、10年前、石川雅己区長の時さくらサポーターが誕生しました。
 新堀さんはまさに千代田区の桜の生き字引です。また、桜にとらわれず街路樹にも詳しいので、話しは尽きません。たとえば、道路には国道、都道、区道路と別れていますが、東京都の道路にユリノキを植えたころ、区内に鉢を多く見るようになったそうです。植物の中でもユリノキの花には蜜が多いため、それを目当てに養蜂家が蜂の巣を置くようになったのが、それがかつて社会党の本部のあったビルに鉢箱が設置されていました。
今ではこの鉢箱が銀座にある製紙会社の屋上にあって、今や銀座のハチミツで有名です。新堀さんはユリノキの鉢蜜を採る養蜂家の所在者を探し当て、その場所を突き止めて訪問したそうです。当時の話を昨日のことのように雄弁に語る姿は、癌を抱える人とは思えません。
実は講演の案内をもらった時、新堀氏を知る千代田区役所職員や桜の仲間は、彼が車いすで来られると聞いて心配をしていました。しかし、いざ桜の話が始まるや、車いすから立ち上がり、持参した資料や写真を次々と見せながら、桜の話が尽きません。張りのある声と滑らかな口調で、13時に始まったお話は16時まで続きました。早く癌を治していただき、また千鳥ヶ淵を案内していただきたいと願うばかりです。

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